ブラック企業で、
残業代なし、有給なし、当たり前のように人格否定される待遇ながら、そこそこの地位を確立していたたまがく。
しかし、30歳のときに転職を決意。
理由は単純。
結婚して子供が産まれたからです。
当時のたまがくの年収は800万円程度あり、正直、同年代の平均年収と比較すると多い方だったと思います。
ぶっちゃけ、独身であればブラック企業を続けたでしょうけど、家族ありとなると続けるのは難しいかなと。
なぜなら、年収800万円と言っても、その中には「成果給」が300万円くらい入っていたからです。
20代の頃は若さと勢いがあってイケイケだったとしても40代になるとそうはいきません。(まだ40代じゃないからわかんないけど)
今年は年収800万円以上だけど、来年は年収500万円以下、ということも当たり前のようにあり得たのがブラック企業だったのです。
すごく不安定。
それに、有給も使え無ければ、高熱が出ても簡単には休めない。
体調不良で休んだら、やる気あるの?みたいな感じの空気が流れる社風。
(たまがくは胃炎でも、40度近い高熱でも出勤していました。今考えればブラック感すごい。当時はそれが当たり前だと思っていた)
先輩店長は、実の親父さんが亡くなった時も出勤してたのですが、社内では「営業マンのカガミ」みたいな扱いを受けていました。
他の先輩店長は新婚旅行に行く纏まった休みが取れずに、奥さんにキレられていました。
いやいや、身内が亡くなったときや新婚旅行のときぐらい休ませてあげてよ(゜_゜)
ってことで、転職を決意。
鬼軍曹に退職を伝えると朝6時まで拘束された件
まだ、転職先は決まっていませんでしたが、先に退職する事を伝えることにしました。
だって、この会社で働きながら転職活動はムリでしょ。平日に休みを取るのは不可能に近いので、面接にも行けないだろうし。
そして忘れもしない。
10月の中間会議の後。
ドキドキしながら、思い切って鬼軍曹に伝えることにしました。
しかし、退職することは悪い事じゃないのに、なんであんなうしろめたい気持ちになって緊張するんですかね?(まあ、それはいいんですけど。)
「鬼軍曹、大事な話があるんですけど、時間ありますか?」
たまがくの真剣な雰囲気を感じ取って、鬼軍曹の愛車であるクラウンに乗るように言ってくる鬼軍曹。
夜10時頃から2人でドライブしながら、車中で3ヶ月後に退職する考えがあることを伝えました。(社内規定で3ヶ月前に申し出ることになっていた)
最初は、「マジか!?」と笑いながら聞いてくれていた鬼軍曹。
もちろん、辞めないように引き止められる。
後1年頑張ってくれないか?3ヶ月は急すぎるから、新しい店長がいない。(いやいや、社内規定では3ヶ月前でOKってなってるし)
おまえを次の地区責任者にするつもりだ。そうすれば今よりも仕事の幅も広がるし、年収だって1000万円近くになるぞ。(いやいや、騙されませんぞ。地区責任者になっても簡単に降格があるじゃん、この会社)
お互いに平行線のまま、いつの間にかドライブは辞めて、セブンイレブンの駐車場に停車して話すことに。(って言うか普通は平行線ってないはずだけど。たまがくが辞めたいって言ったら、会社側は了承して終わりなんだけどね)
途中からは、もうキレながら説得してくる始末。
「途中で逃げ出したら、逃げ癖がついてどんな仕事も続かなくなるぞ」
「世話になった先輩店長やおまえを慕ってくれている部下に申し訳ないと思わないのか」とか。
そして、最後は泣き落とし。
「俺にとっておまえは家族みたいなもんなんだ。一緒にこの会社で頑張っていこう」
鬼軍曹からの説得を受けるも、たまがくの決心は固く、退職の考えを曲げるつもりは無かった。
まさかのハプニング
すでに朝方の4時。
(もう眠いんですけど)
とその時、鬼軍曹とたまがくが乗っているクラウンの窓ガラスをコンコンと叩く音が。
「すいません。南警察署のもんなんですけど、ちょっと質問いいですか?」
そこには警察官が2人。
どうやら車が車で、セブンイレブンの駐車場に長い間停車していたので、不審者だと思われたらしい。
警官「何してるんですか?」
鬼軍曹「こいつが会社を辞めると言うので説得してたんですが、何か?」
たまがくへの説得がうまくいかないので、イライラしていた鬼軍曹は警官に対してケンカ腰。(ちなみに鬼軍曹はカラテ、柔道、日本憲法すべて黒帯の猛者)
警官「こんな時間にこんな場所でですか?」
鬼軍曹「話をするのに、時間と場所を選ばなきゃいけない法律でもあるんですか?」
たまがく(もう帰りたいよ〜)
質問や車内の確認が終わったのは、結局朝の5時。
たまがくが家に帰ったのは朝6時。
ちなみに、朝6時に帰って一睡もせずに、仕事に行ったのは言うまでもない。
鬼軍曹の説得に時間もかかったし、警察に職務質問されるハプニングもあったが、無事に3ヶ月後に退職することに成功したのであった。
しかし、転職先で新たな悩みに遭遇することになるとは、この時は知る由もないたまがくなのであった。